日米ワークスタイル比較

就職活動が完了して日本の会社に勤め始めてはや1年が経った。カナダ・バンクーバーでの就労経験を経て、日本に帰国後日本の会社でWEBエンジニアとして1年間働いてみて思うところ(主に日米の技術者のワークスタイルの違いを中心に)をまとめてみようと思う1

北米の働き方 vs 日本の働き方

北米は定時で帰宅する一方、日本は残業前提なところがある。

僕の場合、北米で働いていたときは8時間の定められた労働時間後(9:00~17:00)すぐに帰宅していた。MAX残業してもせいぜい1時間、18:00前には必ず職場を出ていた。

スタートアップはバリバリ働く!?

僕がカナダで務めていた会社は従業員10人ほどのスタートアップだった。僕の中で国は関係なく「小さい会社 = (人数が少ない分)バリバリ働く」という仮設があったので、僕の務めた会社も残業は日本ほどないにせよそれなりにある思っていた。

だけどその仮説は間違っていた。その会社は小さなスタートアップが集まるシェアオフィスの一角にあったのだが、どの会社であれ午後6前には基本的にみんな帰っていた。そこに入っていた全ての会社がその時間なのだから、会社の規模の大小は関係無いのだろう。会社の規模にかかわらずみんな定時に帰ってたのだ。

残業が当たり前な日本のワークスタイル

カナダに行く前、僕は日本のいわゆるSIの会社に勤めていた。当時は残業しない日のほうが圧倒的に少なかった。むしろ「一時間くらいの残業は当たり前」という感じで働いていたので、1時間の残業で済めば「よっしゃ!今日は早く帰れた!」という感じ。

一番問題だと感じるのは「残業はして当然」という空気感であり、別にこれは会社として誰かが公式に言ったわけでもなかったし、早く帰ったら査定に響くというクソみたいなことは全くなかったのだけど、漠然と帰りにくい空気感はあった。

「いや、そんな空気なんてもん無視すればいいじゃん」っていうのはごもっともで僕も大賛成なんだけど、なんかこうみんなが帰らずに働いていることがさも当たり前のようにすごくナチュラルに働いているもんだから、僕もあたかも働いているのが当然なことだという感じで働き、それが習慣化していった。惰性的な労働、忌むべきモノだ。

残業する人=仕事のできない人

こういう空気を感じちゃったりとか周囲の雰囲気に流されている時点で「あぁ、わたしって日本人」と残念な気持ちになるのだけど、そういう空気を作らないという意味では上司が真っ先に早く帰ることは重要だと思う。もちろん仕事をしっかりこなした上で。

カナダでは全員定時に帰っているもんだから、基本的に定時に帰っていない人・帰れない人っていうのは仕事のできない人・遅い人 というレッテルがはられる印象があった。残業30分しようものなら自分一人だけ会社に取り残されるので居心地が非常に悪い。「仕事が遅いせいで仕事が終わっていないのだ」という感覚に襲われた(実際はそんなことはないのだけど)。なのでカナダで働いていたときは自然と業務時間内に仕事に終わらせようという気持ちになり、その中で最高のパフォーマンスを出そうという気持ちになった。

あとみんな定時に帰ることが前提になっているので、定時の一時間前に仕事の依頼を飛ばすであったり、帰ろうとしているときにトコトコと歩いてきて「ちょっと聞きたいことがあるんだけど??」みたいなアホなことは絶対にしない(本当の本当に緊急時以外は)。

タスクの積み方・こなし方

ボスからのタスクの積み方、デベロッパーのタスクのこなし方も違いがあった。ボスからのタスクは降りてくる時点できちんと優先度付けされていて、開発者にたいしては「最低限これはやってね」という高優先度なタスクがメインで振られていて、タスクを過度に積みすぎているということはなかった。

開発者側としてもタスクのこなし方として「今週中のタスクが終らなかったから気合で頑張る」みたいなことはなくて、終らなかったら終らなかったで仕方ないという感じで淡々と仕事してた。その結果、下記のようなシチュエーションも垣間見た。

デッドラインに遅れるのはけっこう平気でしてる。デッドラインが今週中というようなタスクを「あとちょっとで終わる!」「ほぼ完了と言って良い」なんていいながら3週間くらい平気でスケジュール遅延している。そしてそのタスクの担当者はバケーションに入るとかで結局中途半端な感じのタスクを置き土産として長期休暇に入っていった。

2ヶ月間WEBエンジニアとして海外で働いてみて感じたこと

北米の給料 vs 日本の給料

給与面に関しては北米で働いたほうが断然良い。

ITエンジニアの地位とは?国別、職種別の年収比較から見えるもの - paiza開発日誌

本データによると日本とアメリカのエンジニアの平均年収は倍近く違う2。日本が約400万なのに対してアメリカでは約800万円。僕の北米で就職活動した身としての肌感は、日本のWEBエンジニアの給与レンジは400万円〜800万円である一方、北米のレンジは最低600万円から最高1200万とかそういう感じ。

レベル別給与レンジ

具体的にレベル別にまとめる下記のような給与レンジだった。

  • Junior Level: 600~800万円
  • Intermediate Level: 800~1000万円
  • Senior Level: 1000~1200万円 or それ以上

僕もカナダで求職していたときはお金は本当に最低限でいいやくらいに考えていたのだけど、エンジニアの給与ベースが良い分、結果的に日本と同水準くらいかむしろ少し多いくらいの貰えていた。

英語の部分で実力不足を感じたので別に給与とか(こっちで生活できる程度に貰えれば)どーでもいいや、って口だったけど技術スキルの部分で会社に認めてもらって日本にいたときと同じ水準くらいの給与は貰えている。嬉しい誤算だ。

2ヶ月間WEBエンジニアとして海外で働いてみて感じたこと

お金が欲しくて腕に自身があるエンジニアならば、カナダのバンクーバーやアメリカ、サンフランシスコあたりに行って働く方が確実に稼げると思う。

開発者の社会的地位

給与が高い分、開発者の社会的地位も高いと感じた。オフィスも開発者が働きやすいように設計されている(勉強会が開けるようなスペース、無料で飲めるビール・ドリンク類)。毎週のように何かしら開発者が集まるミートアップが開催され、無料のピザ・ビールがふるまわれる。「手に職を」といったときに数ある選択肢の中でデベロッパーの優位性は高まっている印象を受けた。

一方、日本だとIT技術者の印象って「IT土方」という言葉があることからしてそこまで良くはない。最近は良くはなってきていると感じるけど、とても良いというレベルには至っていないと感じる。

北米と日本のエンジニアのレベルについて

「著名なオープンソースの多くはアメリカから出ているし、世界的に有名なGoogleなどのIT会社もアメリカからたくさん出ているしやっぱITの聖地はアメリカだわー、スーパーハッカー多いに違いないわー 間違いないわー」

そう考えていた時期が僕にもありました…。

いや、アメリカから著名なオープンソースも出てるのは事実だし世界に羽ばたくスタートアップが多く育つ土壌があることも間違いないのだけど、エンジニアのレベルとして考えたときに日本の技術者と北米の技術者でそこまで変わらないんじゃないかってこと。

どこ行ってもそうだけど、デキる人はデキるしデキない人はデキない。別に北米で働いても技術者のレベルの平均値が高いなーという印象は僕はなかった(ただ実力とか結果にシビアではある)。

最後に

一年日本で働いてみて、改めて日本と北米のワークスタイルの違いについて整理したくて本記事を書いた。

とくにオチみたいなものは用意していないのだけど、日米の技術者のワークスタイルを比較したときにやっぱり日本の技術者の働き方はまだまだ改善できるなと思う。日本で働くエンジニアの一人としてその辺をもっと整備していくためにはどうしたら良いかということを考えてモンモンとしている最近。

  1. 僕が働いたのはカナダのバンクーバーですが本記事では「北米」としてまとめています。実際のところは同じ北米でも西海岸と東海岸で働き方・雰囲気はけっこう違ったりします。 

  2. 物価や税金の違いがあるので額面だけでの単純な比較はできないのだが、ここで引用している図では「物価指数後」の図なのでその辺も加味されています。